第68章

大島莉理は笑った。彼の手の甲に重なっている、自分の細く長い手のひらをちらりと見る。

昔は、手をつなぐのが好きだった。田中尚哉の手は指が長くて掌も大きく、なにより温かかったから。

それに比べて自分は、体質のせいで一年中手足が冷たい。

「なに笑ってる?」

田中尚哉が、彼女の顔をじっと見つめる。

大島莉理は首を横に振った。

「別に。あなたが正直に言うなら、私も正直に言う。……同意しない」

「どうしてだ。会社の名誉が傷つくんだぞ。俺だけじゃない。俺の妻である君も、一蓮托生だ。君だって影響を受ける」

彼には分からなかった。彼女はまるで、自分のことも、会社の評判も、どうでもいいみたいだ。...

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